
今回は、世界のさまざまな言語のしくみを解説する、
白水社の「○○語のしくみ」シリーズから、
日本語のしくみを取り上げたいと思います。
このシリーズはほかにも中国語のしくみ、韓国語のしくみなど
主要言語のものがそろっていて、ちょっと変わった角度から
言葉について学べるようになっています。
母国語として使っていると、普段その言葉がどんな法則で
成り立っているか、意識もしないし、
説明しようと思ってもできない場面があります。
以前に外国人の友達から、日本語のテストに出た問題について
質問を受けたとき、答えを教えることはできても、
しくみを説明することはできなかったことがあります。
この本が目に留まったのは、そんな思い出があったからでもあります。
読んでみると、「なるほど確かに!」という部分が多々あり、
自分の母国語のしくみを若干とらえることができたように思います。
たとえば、この本にもまさに例文として出てくるのですが
わたしが友人に訊かれたのは以下のような助詞の使い分け方です。
「彼は木の下に立っている」
「彼は木の下で本を読んでいる」
この「に」と「で」はどちらも場所を表す助詞ですが、
どのような場面でどちらを使うのか、と訊かれました。
説明しようと思っても当時はできませんでした。
じつは
「に」はそこに存在していることを表し、
「で」は動作を表すそうです。
だから、取り換え不可能なのですね。
ほかにも、
「京都の歴史は古いから、外国人観光客に人気だ」
「京都の歴史は古いので、外国人観光客に人気だ」
このふたつの文章のニュアンスの違いは、どこにあるでしょうか。
「から」「ので」は、いずれも同じように理由を表す助詞ですが、
「から」は主観の入っている印象、
「ので」は事実に基づいて述べられている印象を与えます。
場合によって双方を取り換えると違和感が生じるのはそのためです。
この本を読んで初めて気が付いた違いでした。
日本語は、細かなニュアンスの違いを表す表現が
豊富に用意された言語です。
その豊かさを上手に使っていきたいものです。
参考書籍:『日本語のしくみ』山田敏弘 著 白水社