この習慣は、平安時代に中国から伝わったと言われています。当時の貴族たちは、美しい月を愛でるために宴を開いたようですが、その後、次第に庶民にも伝わり、秋の収穫を祝うという目的が加えられたようです。
前回は中華圏の様子をお伝えしましたが、今回は韓国について触れたいと思います。
韓国では旧暦8月15日は「秋夕(チュソク)」と呼ばれ、今年はその前後4日間が祝日になっています。このお休みには多くの人が実家に帰省し、家族で集まって先祖の霊に茶礼という儀式を行って、みんなで一緒に食事をするようです。韓国ではとても大切な行事の一つになっているようです。
定番のお供え物は松餅(ソンピョン)。うるち米の粉で生地を作り、その中に、豆、小豆、栗、ゴマなどで作った餡を包んで半月の形にし、松の葉を敷いて蒸したお餅です。チュソクの前日に家族が集まって作るようで、このソンピョンにはさまざまな言い伝えがあり、ソンピョンを上手に作れる女性はよい男性に出会え、上手に作れる妊婦はよい子どもを産むことができるとも言われているようです。
中華圏では丸い月の形を象徴する月餅を食べる一方で、韓国では半月の形のソンピョンを、日本では月見団子を食べてお祝いをする。それぞれに独自の祝い方があり面白いですね。
今年の「中秋の名月」には、月見団子と一緒に月餅とソンピョンも用意をして、家族や仲間と集う日にしてみたいと思います。